佃島

佃島

この写真は1972から1974年にかけて撮影した。
まだ若かった私がただ撮りたい一心で撮ったものです。
この時代は、高度成長の時代で活気に満ちた時期でもあった。
上京してすぐの私は佃のこの一郭に故郷の匂いを思いだしていたのかもしれない。
とても心が開かれエネルギッシュに生きる庶民の姿に惹かれた。
佃島の成り立ちにも関心がありました。
ここに住む人々の先祖は、大阪の西淀川区の佃の漁師さんが移住して来た人達。
400年ほど前、徳川家康が大阪で大洪水に遭遇して中州に取り残され、
窮地に陥った家康を救出したのが地元佃の漁師達。
その恩に報い、大将軍家康は彼らを江戸に呼び寄せ、日本の何処でも漁が出来る免状を与え、
現在の佃島に住まわせたということの様だ。
確かに今も生活の中心は住吉神社です。大阪から来た人達である事は確かな様です。
以来、自分たちの共同体を大切に守っているのがここに住む人達なのです。
この共同体を大切に守り、信心深い暮らしを続けているエネルギーはほかに類のない物で、
東京の真ん中にこんな田舎があるとはほとんど奇跡の様な事です。